初回60分無料
平日 09:00~19:00  土曜 09:00~17:00  定休日 日祝
2024
07/24

不動産を共有で相続するのはなるべく避けたほうがいい!共有状態が続くリスクやデメリットを解説

遺産を相続する際、不動産を他の相続人と共有状態にしてしまうのは、将来的にトラブルのリスクが高く避けるべき、とアドバイスされるケースが多いのは何故でしょうか。
不動産は正確に半分に分けるのは難しいため、面倒を避けたいと共有にしてしまうケース…しかし、共有のリスクを知り、共有するメリット・デメリットを踏まえた上で判断するべきでしょう。
今後遺産分割をする可能性がある方も、すでに共有されている方も、不動産共有の問題点を知り、どのようなトラブルが起こりやすいか理解しましょう。

この記事の監修者

弁護士 山村真登

弁護士・ニューヨーク州弁護士

2013年12月
弁護士登録 山村忠夫法律事務所勤務開始
2018年5月
ニューヨーク大学ロースクール(New York University School of Law (アメリカ合衆国ニューヨーク州))LL.M修了
2019年10月
ニューヨーク州弁護士登録

お問い合せフォームお問い合せフォーム
弁護士 山村真登
弁護士 山村真登

この記事の監修 :
弁護士 山村真登

相続においては、遺産の価値のほとんどが不動産で占められているケースがよくあります。実際に、関西地域においては、地価の高い場所において、相続税の課税価格と相続税額がが高くなる傾向(2021年の統計)が顕著です。
統計上、京都府内においては、京都市左京区、中京区、下京区、大阪府内においては、大阪市北区、中央区、滋賀県においては大津市、草津市、彦根市において、相続税の課税価格が高くなっておりますが、これはこれらの地域の地価の高さが関係しているものと思われます。

不動産が価値が高く、預貯金がそれに比して多くない場合、公平な解決として不動産を相続人の共有名義にするという考えも浮かぶかと思います。しかし、私どもは、特別な理由がない限り、遺産を相続する際に、不動産を共有名義とすることはおすすめしておりません。

安易に不動産を共有名義としてしまうと、折角故人が遺した財産を、有効活用できず、誰も得をしない結果となってしまうおそれがあります。
その具体的な理由を以下の通りご紹介致します。

この記事の監修 :
弁護士 山村真登

遺産相続問題は弁護士へ
相続の弁護士費用相場コラム

相続の際、不動産の共有状態はなるべく避けたほうがいい

不動産の共有状態が続くのは、ハイリスクなのをご存じでしょうか。
相続の際に平等に分けたいとの思いから、遺産である不動産を共有名義とする方もいるでしょう。しかし、不動産はいったん共有にしてしまうと、後日に新たな分割や売却等の処分が簡単ではありません。
だから、なるべく相続の段階で共有とせず、できれば単独所有とするのが望ましいのです。

そもそも「共有名義」とは何か

「共有名義」とは、不動産登記簿上で所有者が複数登記されている状態を指した言葉です。一方、ひとりのみが所有者として登記されている状態を、「単独名義」と言います。
しかし相続登記が未了(※)の場合のように、登記簿へ権利関係の反映がなされておらず、登記が単独名義でも、実体上は共有状態となっている可能性もあるのです。
本来、名義とは登記簿の状態にすぎないので、権利関係が複雑になるのを防ぐため「不動産の共有状態を避けるべき」と言うのが正確な表現でしょう。
しかし現在では、共有名義を「不動産の共有状態」の意味で使うようになってきており、共有状態を避ける意味で「共有名義を避けるべき」と表現しているケースも多いようです。

 

※相続登記が未了とは
登記簿に載っている所有者が亡くなっても、そのまま名義人は変わりません。
誰が相続するのか決めて、相続によって所有者が変わったことを法務局に申請しなければ、亡くなった方の名義のままなのです。
相続登記がなされていない状態を、相続登記の未了と言います。

不動産を複数人で持つ(共有にする)問題点

不動産の所有権を複数人で持つことを、『不動産の共有』といいます。各共有者が持分の割合に応じて権利を持ちながら、共同で所有している状態です。

一般の人には共有した後の状態が分かりづらい

民法や判例で共有の権利関係についてのルールは定められています。しかし、共有者一人で行使可能な権利や、全員で行使しなければならない権利などの判断は、一般の方にとって分かりやすいとは言えません。
また、常に明確な基準があるわけでもないため、実際には共有前には想定できなかった結論となる可能性もあるのです。

不動産の分割自体が難しい

同時に、不動産自体の分割は簡単ではありません。
建物は物理的に分割しづらいですし、土地を分筆(※土地を複数に分け、分けた事実を第三者に分かるように登記すること)しても分筆の仕方によって価値が上下するので、公平な分割は難しいのです。また、共有後は不動産を売却するのも全員の合意を得る必要があり、手間がかかるため、売却してお金で分ける方法も安易には選べません。
分割による解決がすぐにできない物を複数人で所有するのですから、共有者間でトラブルが生じた場合、さらに解決が大変になりやすいのです。

 

※分筆とは
登記簿上の一つの土地を、複数の土地に分けて登記することを分筆といいます。
分筆の登記をしないと、第三者に土地を分割した事実が主張できません。

不動産が共有状態となる原因となる相続

不動産を共有で持つ原因・きっかけとして、一番多いケースが相続です。
「民法の法定相続割合に従って共有するのが平等と考え、共有名義にするケース」「遺産分割協議をしておらず、遺産である不動産が共有状態になっているケース」は、少なくありません。
しかし、不動産についてなんとなく共有名義にしたり、協議で相続人を決めないまま放置したりするのは将来のトラブルのリスクが高いです。
遺産が不動産のみの場合などは分割の方法が悩ましい場面もあります。しかし、なるべく不動産の共有状態は避けるよう、事前に対策しておいたほうがよいでしょう。

不動産を共有で相続する場合のデメリット

不動産を共有で相続した場合、どのようなリスクやデメリットが考えられるでしょうか。将来的に発生しそうな問題点や、揉めやすい点について、より具体的に解説します。
すでに共有で不動産を所有している方にとっては、将来起こりえるトラブルについて備えるべき知識として役立ててください。

不動産全体の売却がしにくくなる

不動産全体を売却する場合、共有者の一人でも反対すると売却できません。
全体の売却や不動産が変容するほどの重要な変更には、共有者全員の合意が必要とされているからです。
また、売却の際には共有者全員が協力して契約や登記の手続きに関与する必要があり、思いがけない労力を要します。
売却金額の決定を含めた共有者全員の意思の統一・手続きへの協力実現は、非常に骨が折れる作業です。

持分の売却も難しく、慎重な判断が必要

不動産の共有持分のみを売るのは可能ですが、買手がつきにくかったり、売却金額が下がったりする場合が多く、通常の不動産売買より難しいと言えます。
共有持分の買取に特化した不動産業者に売却する方法があり、近年は、売却金額を気にしなければ売却可能なケースも増えてきました。
しかし、共有物を分割するために強引な交渉を行う悪意のある業者も存在するため、他の共有者に迷惑がかかる可能性に気をつかい、慎重に判断すべきでしょう。

利用や管理・費用負担などで揉めやすい

共有不動産を他者へ賃貸に出すには制限があり、共有者の持分で過半数の合意が必要な場面と、共有者全員の同意が必要な場面があります。
他の共有者の協力が得られなければ、第三者に貸して有効利用するのもままならないのです。売却処分も賃貸利用もできず、なかば放置されてしまうケースも少なくありません。
放置されても、固定資産税の負担や、適切に不動産を管理するための労力・費用は発生します。誰かが不満を持ちながら負担しつつ共有し続ける状態が続けば、将来親族間で揉める原因になりかねないでしょう。

共有者に相続が発生した場合のリスクが大きい

共有状態が続くと、いずれ共有者の誰かが亡くなり、相続が発生します。
誰が相続人として権利を引き継ぐのか他の共有者は関与できず、疎遠な方が共有者となる可能性は否定できません。
そして、時間が経過するほど相続が発生して共有者は増えていきます。
連絡が取れなくなり、誰が共有者か分からなくなってしまうケースも少なくありません。
また、共有者が増えるほど、認知症などで誰かの意思能力に問題が生じる可能性も高まります。
多大な費用や労力をかけなければ、共有物全体の重要な意思決定ができなく
なるリスクが大きいのです。

不動産を共有で相続したほうがメリットのある場合

先に不動産を共有で相続するのは避けるべきとの結論をお伝えしました。
ですが、共有にメリットがあるケースや、あえて共有を選択するケースもあるため、その点についても紹介します。

共有が税金面でメリットとなるケースがある

マイホーム(居住用財産)を売った場合の特例(※)が利用できる際に、共有がメリットとなる可能性があります。要件を満たす場合、マイホームを売った際に出る譲渡所得(儲け)から最高3,000万円を控除できるとする特例が、各共有者で使える可能性があるのです。

 

※参照:「マイホームを売ったときの特例」/国税庁

 

共有で相続し各共有者が要件を満たす場合は、それぞれ3,000万円の特別控除を受けられます。
要件を満たすのは簡単ではありませんが、マイホームを売却する際に高額な譲渡所得が発生しそうな場合は、共有で相続して節税できないか検討に値するでしょう。
また相続税が発生する場合、少しでも税金を抑えるために、税理士が不動産の共有を提案する場合もあるかもしれません。

遺産分割協議の合意が得られやすいメリットがある

遺産が不動産のみで、相続人が複数いる場合に、遺産分割協議の合意に苦労するケースがあります。
すぐに不動産を売ったり現物分割するのは難しく、代償分割(不動産を相続人の一人が取得し、代わりに他の相続人に代償金などを支払って調整する分割方法)の合意もうまくいかない可能性があるからです。
結局、法定相続分通りの持分割合で不動産を共有するのが一番合意しやすくなります。
速やかに公平感のある遺産分割協議が可能なのはメリットです。
しかし、前述のとおり不動産の共有のリスクは高いため、合意しやすいとの理由だけで共有を選ぶのはあまりおすすめしません。

あえて不動産の処分が難しくなるのを望む場合もある

「騙されやすい性格の方や高齢者が一人で所有し、簡単に売却してしまうのを避けたい」と考え、不動産の処分を難しくするために共有での相続を選択する場合があります。
また、先祖代々受け継いできた土地を守るため、親族で共有するのがしきたりとなっており、単独での所有を選ばない事例もあるでしょう。

不動産の相続や共有状態に不安のある方は、まずはご相談ください

不動産の共有を避けるべきと言われても、具体的にどうすべきか悩み、将来の遺産分割に不安を持ってしまう方も多いのではないでしょうか。
専門家に相談すると、具体案を提示され、不安を少しでも払拭できるかもしれません。
遺産が多種多様であり相続税も大きくかかりそうな場合や、法定相続人で連絡の取れない方がいる場合には、早めに相談すると将来のストレスやトラブルを防げる可能性があります。
すでに不動産を共有しており、共有状態を解消したいとお考えの方もいるでしょう。
初回無料相談の枠もありますので、「思い立ったが吉日」として、まずはご相談ください。

弁護士に相談すべき理由

  • ・相手方との交渉や調停・審判の代理人となってもらえる
  • ・トラブルになりそうな可能性を察知し、事前に対策が打てる
  • ・有利な結果を獲得しやすい
  • ・特別受益額や持ち戻し請求の計算を正しく行ってもらえる
  • ・遺留分侵害額請求を行う場合は、資料作成から提出まで対応してもらえる
  • ・面倒な法的手続きを全て任せることができる

他の相続人が特別受益を認めない場合は、トラブルになる前に弁護士に相談するようにしましょう。

お電話で
無料ご相談予約

  • 受付時間 平日:9:00~19:00
  • 受付時間 土曜:9:00〜17:00
  • (定休日  日曜日 祝日)
電話をかける電話をかける

メールで
無料ご相談予約

  • 受付時間 平日:9:00~19:00
  • 受付時間 土曜:9:00〜17:00
  • (定休日  日曜日 祝日)
お問い合せフォームお問い合せフォーム