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2024
09/11

親族による遺産隠しが疑われるケースにどう対応する?遺産の調査方法と遺産分割協議のやり直しの注意点とは

非同居であった相続人の立場では、常に身近に接しているわけではないため、遺産の情報が得られにくさから親族による遺産隠しの問題が生じやすくなります。
隠された、または使い込まれた遺産についてしっかり追求するなら調査が必要です。遺産隠しや使い込みが疑わしいよくあるケースや、遺産の調査方法について確認しておきましょう。さらに、調査によって遺産が見つかった場合には、遺産分割協議のやり直しについての注意点も解説します。

この記事の監修者

弁護士 山村真登

弁護士・ニューヨーク州弁護士

2013年12月
弁護士登録 山村忠夫法律事務所勤務開始
2018年5月
ニューヨーク大学ロースクール(New York University School of Law (アメリカ合衆国ニューヨーク州))LL.M修了
2019年10月
ニューヨーク州弁護士登録

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弁護士 山村真登
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弁護士 山村真登

相続を扱う弁護士として、遺産が誠実に開示されないというお悩みは最も多く耳にするご相談の一つです。ご自身でできることも多いですので、遺産の内容が正しく反映されているか、不審な動きがないか等を確認し、公正な遺産分割への第一歩としましょう。

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弁護士 山村真登

遺産相続問題は弁護士へ
相続の弁護士費用相場コラム

遺産隠しや使い込みが疑われるケースにおいて遺産の情報を得る方法

亡くなった人と同居していた相続人と、そうでない相続人がいる場合、同居していた人のほうが遺産について詳しく知っているため、いっぽうは遺産隠しを疑うケースがあります。
遺産隠しとは、相続財産の一部を隠して、その財産を自分だけ独り占めしようとする行為です。遺産隠しを疑うケースや、遺産について調べる方法について、事例とともに解説していきましょう。

遺産隠しが疑われるケースとは

・被相続人が生前話していた財産が見当たらない、極端に財産が少ない
・一部の親族主導で遺産分割協議を進めているが、財産に関する証拠を一切示さない
・亡くなった方以外の人の手により預貯金が引き出された形跡がある

以上のようなケースや痕跡が見られる場合、親族による遺産隠しが疑われる代表例です。
気になる事実があるなら、自ら遺産の調査に乗り出すか検討したほうが良いでしょう。

同居していた親族からなるべく正確な情報を聞き出す努力をする

まずは亡くなった方と同居していた親族に、遺産について詳しく教えてもらうのが、一番スムーズな方法です。
しかし、親族間で仲が悪かったり、疎遠になっている場合は、なかなか情報を聞き出せないかもしれません。
それでも、相続手続きを進めるために、相手にも協力してもらう姿勢を見せましょう。
例えば、「一緒に遺産整理を進めたいのですが、何か心当たりのあるものはありますか?」 などと、具体的な質問 を投げかければ、より多くの情報を得られる可能性があります。

 

・準確定申告や相続税申告の必要性や手続きの大変さに触れながら、遺産について話す
・借金などマイナスの財産がある場合に、共に相続放棄をすべきではないかと相談する
・葬儀費用・介護費・治療費などの負担を申し出て、同居していた親族を安心させる

可能なら郵便物や通帳を細かくチェックして情報を得る

亡くなった方の郵便物や通帳は、遺産調査の重要な手がかりです。
郵便物には、証券や借金に関する通知が届いている可能性があります。また、固定資産税の納税通知書があれば、不動産の所有状況が分かるでしょう。
通帳については、公共料金の引き落としや年金受給の履歴を調べれば、他の口座の存在が分かる場合があります。
郵便物や通帳といった資料をしっかり確認していけば、より正確な遺産調査を進められます。

警察は親族の資産隠しに対応しないケースが多い点に注意する

遺産隠しは、法律上は窃盗や横領に当たる可能性がありますが、親族間では刑罰が免除されるケースが多いのです。
これは、「親族間の犯罪に関する特例」という法律の規定があるため。また、一般的に家族間の問題は民事の問題とされ、警察が介入することは少ないと考えられています。
警察では親族の資産隠しには対応しないケースが多く、解決は難しいので、遺産隠しを疑う場合は、民事裁判など、別の方法で解決を図る必要があります。

非同居の相続人の立場で使い込みや隠された遺産を調査する方法

同居の親族から情報が得られない場合でも、諦める必要はありません。非同居の相続人の方でも、様々な方法で遺産を調査できます。
例えば、故人の名義で契約していたサービスの利用履歴や、金融機関への照会などを通じて、隠された財産を発見できる可能性があります。
比較的簡単に調べられる財産については、しっかり追求することで、遺産隠しの事実を明らかにできるかもしれません。

自分でも調査しやすい財産と調査方法

次に紹介する財産は、相続人の立場であれば比較的簡単に調べられます。
相続人である事実を証明できる戸籍や被相続人の住民票除票、相続人の身分証明書などは各機関での事実確認書類として必須ですので、まずは役所で取得してください。
書類をそろえてから、各機関にコツコツ問い合わせて、地道に調査しましょう。

不動産を調査するには

相続財産の不動産を調べるなら、名寄帳を請求してみましょう。名寄帳の取得は、相続財産の調査の第一歩です。
故人が不動産を持っていたかどうかを調べるには、市役所で「名寄帳」という書類の請求が便利です。名寄帳は、その市町村内に不動産を所有している人の一覧表で、故人の名前で検索すれば、所有している不動産があるかどうかを確認できます。
注意点として、故人が複数の市町村に不動産を持っていた可能性もあります。また一部の市町村では、名寄帳ではなく固定資産税台帳という名称で同様の情報を提供している場合があります。

預貯金や貸金庫の存在を調査するには

相続財産の調査では、遺産の不正使用を発見する手がかりとして、金融機関の照会が欠かせません。
故人が利用していた可能性のある金融機関に問い合わせれば、残高証明書を発行してもらったり、取引履歴を確認できます。貸金庫の利用有無も一緒に確認できるのです。
まずは、身近な金融機関から調べてみましょう。故人がよく利用していた金融機関や、地域でメジャーな銀行、信用金庫などを中心に調べていくと効率的です。高齢者の方がよく利用するゆうちょ銀行やJAバンクは必ず確認するようにしてください。

上場株式や有価証券を調査するには

証券会社や信託銀行が管理している上場株式や有価証券については、証券会社・信託銀行などに問い合わせての照会が可能です。
証券会社が分からない場合に、証券保管振替機構で登録済加入者情報を調べるのも有効な手段です。

債務を調査するには

相続財産に債務がある可能性も考慮し、慎重に検討しましょう。
相続財産には、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産(借金など)が含まれている場合があります。もし、マイナス財産の方が多かったり、将来的な返済が困難だと判断された場合は、相続放棄も検討する必要があります。
故人に債務があったかどうか調べるには、信用情報機関に開示請求を行います。信用情報機関には、個人間の借入状況などが記録されており、故人の債務の有無を確認できます。

 

<主な信用情報機関の例>
・全国銀行個人信用情報センター
・株式会社日本信用情報機構(略称JICC)
・株式会社シー・アイ・シー(略称CIC)

調査に限界がある財産もある

同居していなかった相続人の立場では、発見が困難な財産もあります。
現金や貴金属など、持ち運びが簡単な財産は、同居していた親族が隠してしまう可能性があります。
また、故人が他の人の名義で預金をしていたり、暗号資産やネット証券を利用していたりする場合、外部からの調査だけでは見つけることが難しいケースもあるのです。

 

<調査が難しい財産例>
現物資産:  現金、貴金属、コレクション品などは、隠蔽される可能性が高いです。
名義預金:  故人が自分の名義ではない口座に預金していた場合、外部からは分かりづらいです。
デジタル資産:  暗号資産やネット証券は、スマートフォンやパソコンの中に情報が残されているため、専用の知識やツールが必要になる場合があります。

使い込みや隠された遺産が見つかった場合の対処方法

調査の結果、使い込みや隠された遺産が見つかった場合には、遺産分割協議で遺産を分ける必要があります。
遺産分割協議がまだ終わっていない場合なら、新しく見つかった財産も含めて、すべての財産について改めて遺産分割協議を行い、問題なく解決できるケースが多いです。
遺産分割協議がすでに終わっている場合は、少し複雑になります。一般的には、以下の方法が考えられますが、ケースによって異なるため、弁護士など専門家への相談がおすすめです。

新たに見つかった遺産についてのみ再協議は可能

新たに発見された遺産については、別途協議で決めても問題ありません。
相続が完了した後、新たな財産が見つかった場合、その財産については、改めて遺産分割協議を行う必要があります。しかし、すでに分割が完了している他の財産については、原則として変更する必要はありません。新たに発見された財産だけを対象に、どのように分けるかを決める協議をすればよいケースが多いのです。

遺産分割協議全体をやり直す場合

すでに遺産分割協議が済んでいる場合でも、新たな事実が発覚したり、不公平な点があると感じたりした場合には、やり直しが可能です。

相続人全員の同意があれば遺産分割協議はやり直せる

相続人全員の合意があるなら、特に難しい手続きは必要なく、いつでもやり直しができます。また、全員の合意がある場合は、亡くなってから何年後でもやり直しが可能です。
裁判などの手続きを経ずに、話し合いで解決できるため、時間や費用を節約できます。

合意が得られない場合は裁判で遺産分割協議の無効を確定させてやり直す

相続人全員の合意が得られない場合、詐欺や錯誤があったなど正当な理由があれば、裁判で過去の遺産分割協議の取消を確定させる方法があります。
裁判で無効または取消と判断されると、合意しなかった相続人含む全ての相続人が新たな遺産分割協議に参加しなければならなくなります。

遺産分割をやり直す際の注意点

遺産分割協議をやり直す場合、いくつかの注意点があります。

詐欺や錯誤の時効

詐欺や錯誤(相続人が故意に財産を隠したり、誤った情報を伝えていた)の場合、事実に気づいた日から5年以内に裁判を起こす必要があります。
つまり遺産隠しが発覚した時点から5年を経過すると、取消による無効主張ができなくなるのです。遺産分割協議を取消し、以前の協議の無効を主張する際には、取消権の時効に気をつけましょう。

第三者の権利

例えば、不動産を譲渡した場合、新しい所有者は、過去の遺産分割協議に関係なく、その不動産の所有権を主張できる可能性があります。
つまり、やり直し以前に既に第三者が関与していた場合は、その財産を取り戻すことは難しいケースがあるのです。発覚後に遺産分割協議をやり直しても、第三者は不動産を返還しなくてもよいため、相続人間で金銭的に解決するしかないケースとなるでしょう。

二重課税

遺産分割をやり直すことで、再協議による財産の移転が、税務上新たな財産の移転として処理されるため、贈与税や所得税がかかる可能性があります。

遺産の使い込みがあるケースでは弁護士に相談するのがおすすめ

相続人が遺産を隠したり使い込んでしまった場合、財産を取り戻すのは容易ではありません。なぜなら、使い込んだ本人が認めない限り、その財産は遺産分割の対象として扱われないのが原則だからです。
勝つ見込みがあるなら、裁判で「不当利得返還請求」や「不法行為に基づく損害賠償請求」など訴訟の選択が考えられます。しかし、相手方との話し合い方や、裁判での主張の仕方など、複雑な問題が数多く発生します。
解決には、弁護士への相談が最も良い方法です。弁護士は、個々のケースに合わせた適切なアドバイスを行い、必要な手続きを進めてくれます。
また、相手方が「これは生前贈与だった」と主張してくる場合もありますが、特別受益という概念を用いて、遺産分割の場で解決を目指す選択肢もあるのです。

 

相続人が遺産を使い込んだと疑われるなら、一人で悩まずに、早めに弁護士に相談を検討しましょう。弁護士は、あなたの権利を守り、最善の解決策を見つけるために尽力してくれます。

 

参照コラム:遺産の使い込みは何を証明すれば取り戻せる?取り戻せない場合は?証明に必要な証拠の具体例を解説

遺産相続で遺産隠しが疑われるならまず弁護士に相談を

相続で遺産が隠されていると疑われる場合、まずはご自身でもできる範囲で調査を進めていきましょう。しかし、調査が複雑だったり、相続人との間で意見が食い違ったりする場合は、一人で抱え込まずに弁護士に相談してみませんか。
弁護士は相続に関する専門的な知識と経験を活かして、遺産の所在を調査したり、相続人との交渉を代行してサポートします。また、遺産分割協議がまとまらない場合や、遺産の使い込みが疑われるようなケースでは、裁判手続きなどの法的措置の検討も可能です。
さらに、遺産分割のやり直しに伴う税金の問題や、相続税の申告など税務的な側面でも、税理士や税務に詳しい弁護士に相談すれば、スムーズで適切な対応が可能です。
相続問題は、複雑で専門的な知識が必要となるシーンが多いため、早期の専門家への相談が、より良い解決策につながっていきます。

弁護士に相談すべき理由

  • ・相手方との交渉や調停・審判の代理人となってもらえる
  • ・トラブルになりそうな可能性を察知し、事前に対策が打てる
  • ・有利な結果を獲得しやすい
  • ・特別受益額や持ち戻し請求の計算を正しく行ってもらえる
  • ・遺留分侵害額請求を行う場合は、資料作成から提出まで対応してもらえる
  • ・面倒な法的手続きを全て任せることができる

他の相続人が特別受益を認めない場合は、トラブルになる前に弁護士に相談するようにしましょう。

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