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2025
12/17

代襲相続(だいしゅうそうぞく)とは?弁護士が法定相続人の範囲や法定相続分、遺留分までわかりやすく解説

「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」とは、本来の相続人が死亡・相続欠格・廃除により相続権を失ったとき、その子や孫が代わりに相続する制度を指します。直系卑属であれば再代襲に制限はありませんが、兄弟姉妹の代襲は甥姪一代限りです。代襲相続では、戸籍収集が複雑化し、関わりの薄い親族とのトラブルに発展する可能性があります。相続放棄や養子など特殊なケースの判断も含め、スムーズな手続きのために弁護士にご相談ください。

この記事の監修者

弁護士 山村真登

弁護士・ニューヨーク州弁護士

2013年12月
弁護士登録 山村忠夫法律事務所勤務開始
2018年5月
ニューヨーク大学ロースクール(New York University School of Law (アメリカ合衆国ニューヨーク州))LL.M修了
2019年10月
ニューヨーク州弁護士登録

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弁護士 山村真登
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弁護士 山村真登

本コラムでは、代襲相続は何かという基本的な考え方から、発生する原因や注意点まで、実務で特に誤解が生じやすいポイントを解説しています。
代襲相続は、単純に見えても、養子縁組や相続放棄などが絡んで、思った以上に複雑になる場合があります。特に、初めて相続を経験され、何から手を付けてよいのか分からず不安を感じている方の助けになれば幸いです。
少しでも判断に迷う点や、ご自身のケースに当てはめて分からない点がある場合には、弁護士や税理士などの専門家に早めに相談することが、円満かつ確実な解決につながります。
京都で相続に関するご相談は、山村忠夫法律事務所までお気軽にお問い合わせください。

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弁護士 山村真登

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「代襲相続」とは?制度の基本と発生する3つの原因

代襲相続(だいしゅうそうぞく)とは、被相続人(亡くなった方)より先に、本来相続人となるはずだった子どもや兄弟姉妹が亡くなっている場合などに、その人の子ども(孫や甥・姪)が代わって相続権を引き継ぐ制度です。 まずは、どのような場合にこの代襲相続が発生するのかを見ていきましょう。

代襲相続が発生する3つの原因

代襲相続が発生する原因は、「死亡」「相続欠格」「相続廃除」の3つに限られます。相続放棄は含まれない点に注意が必要です。

 
<代襲相続が発生する原因>

原因となる事象 概要・具体例
相続人の死亡 もっとも一般的なケース
相続人の相続欠格 重大な非行(被相続人や先順位・同順位にある他の相続人を殺害又は殺害しようとしたこと、詐欺・強迫によって相続に関する遺言をさせたこと、遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿したこと等)により法律上当然に相続権を失ったケース
相続人の相続廃除 被相続人への虐待や窃盗、著しい非行(犯罪、遺産の浪費等)等を理由として、被相続人の意思により、家庭裁判所が相続人となるはずの者の相続資格を剥奪するケース

【図解あり】代襲相続人はどこまで?孫・甥姪・兄弟姉妹などの範囲

代襲相続人の範囲は、亡くなったのが「子ども」なのか「兄弟姉妹」なのかによって大きく異なります。ご自身が相続人に該当するのか、どの世代まで権利が続くのかを確認しましょう。

ケース1:被相続人の「子ども」が先に死亡しているケース

 
ケース1:被相続人の「子ども」が先に死亡しているケース

被相続人の「子ども」が先に死亡しているケースの代襲相続人は、孫です。もし孫も先に死亡している場合は、その子である「ひ孫」が再代襲します。被相続人の直系卑属(子、孫、ひ孫…)であれば、再代襲は何代でも続き、制限はありません。

ケース2:被相続人の「兄弟姉妹」が先に死亡しているケース

 
ケース2:被相続人の「兄弟姉妹」が先に死亡しているケース

被相続人の兄弟姉妹が相続人となるのは、被相続人に子どもがおらず、父母と祖父母もすべて死亡しているときです。もし「兄弟姉妹」が先に死亡しているケースでは、甥・姪が代襲相続人となります。
しかし、甥・姪も先に死亡している場合、その子(姪孫)は再代襲できません。兄弟姉妹からの代襲相続は「甥・姪の一代限り」という制限があります。

代襲相続の割合である法定相続分の計算方法

代襲相続人が受け取る遺産の割合(法定相続分)は、基本的に「本来の相続人が受け取るはずだった分」と同じです。具体的な遺産分割の例から、実際の法定相続分を考えていきましょう。

代襲相続人の法定相続分は「本来の相続人と同じ」

代襲相続人は、亡くなった親(被代襲者)が受け取るはずだった法定相続分をそのまま引き継ぎます。例えば、相続人が「配偶者」と「子どもA」、そして亡くなった子どもBの代襲相続人である「孫C」の場合。 孫Cの相続分は、本来子どもBが受け取るはずだった割合(全体の1/4)をそのまま引き継ぎます。

代襲相続人が複数いる場合は均等に分割

代襲相続人が複数いる場合は、被代襲者の法定相続分を均等に分割します。代襲相続人が複数いるケースの法定相続分を計算してみましょう。

被相続人に妻と子どもAとBがおり、子どもBが先に死亡しました。子どもBには子どもC, D(被相続人の孫)がいます。
 
民法によると、法定相続分は妻が1/2、子どもAとBがそれぞれ1/4ずつです。代襲相続人が複数いるため、子どもBの相続分1/4を、孫Cと孫Dで均等に分けます。
その結果、それぞれの法定相続分は妻1/2・子どもA1/4・孫C1/8・孫D1/8です。

借金も相続する?「相続放棄」と代襲相続の関係

代襲相続では負債も対象になりますが、相続しないための相続放棄手続きもできます。相続放棄とは、相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がないことです。

借金も「代襲相続」の対象になる

代襲相続人は、被相続人の借金やローンなどの負債もすべて引き継ぎます。「親の借金だから関係ない」とはなりません。 もし負債が資産を上回る場合や、相続に関わりたくない場合は、「相続放棄」を検討する必要があります。

相続放棄の期限と方法

もし親が亡くなり、ご自身が代襲相続人となったときに、借金を受け継ぐのを避けたければ相続放棄をしましょう。相続放棄は、家庭裁判所での手続きが必要です。
期限は「自己のために相続の開始があったと知った時から3ヶ月以内」です。代襲相続人の場合、「被相続人が亡くなり、かつ、自分が代襲相続人になったと知った時」からカウントが始まります。

要注意!親が「相続放棄」した場合、代襲相続は起きない

本来の相続人(親)が相続放棄をした場合、その人は「初めから相続人ではなかった」とみなされます(民法939条)。
したがって、相続放棄は代襲相続の原因(死亡・欠格・廃除)には該当せず、その子ども(孫)に代襲相続は発生しません。親が相続放棄をしていたときは、何も手続きをしなくても被相続人の借金やローンを受け継がずに済みます。

代襲相続が「できない」ケースと間違いやすい「養子」のルール

襲相続はどのような場合でも発生するわけではありません。「相続放棄」をした場合や、「養子」の特殊なケースなど、要件を満たさず代襲相続が起きないパターンが存在します。遺産分割の前提となる重要な知識ですので、しっかりと整理しておきましょう。

 
代襲相続が「できない」ケースと間違いやすい「養子」のルール 

<代襲相続が発生しない・できないケース>
・本来の相続人が相続放棄した
・兄弟姉妹の代襲相続で甥・姪も亡くなっている
・遺言書で指定された相続人が先に死亡した(原則としてその遺言は失効し、代襲相続とは別の問題になる。予備的遺言は除く)(民法994条1項)
 
※予備的遺言とは、受遺者が先に死亡する事態に備えて遺言書に次の受遺者を指定しておくこと

代襲相続が発生しない3つのパターン

代襲相続は、本来の相続人が相続放棄をしていた場合や、兄弟姉妹の代襲相続で甥や姪も既に亡くなっていた場合は発生しません。また、遺言書に指定されていた相続人が亡くなったときも、原則として代襲相続とは別の問題になります。

 
関連記事:「生命保険は不公平」は間違い?相続財産になる特別受益の例外を判例から解説。遺産分割は弁護士へ相談

「養子」の子どもは代襲相続できる?

養子縁組をした場合、養子の子ども(被相続人の孫)が代襲相続人になれるかどうかは、非常に複雑です。 結論から言えば、「養子縁組の日」と「子どもが生まれた日」の前後関係によって結論が異なります。

民法では、代襲相続人になれるのは被相続人の「直系卑属(血のつながりのある下のお子さんやお孫さん)」でなければならないと定めています(民法887条2項ただし書)。養子縁組は「血族関係」を作り出す手続きですが、その効力が養子の子どもにまで及ぶかどうかは、タイミング次第なのです。

養子縁組「後」に生まれた子ども(代襲できる)

養子縁組を行った後に、養子に子ができた場合をみてみましょう。この子どもは、被相続人の戸籍に入った養子から生まれているため、被相続人(養親)にとっても法的な血族関係がある「直系卑属(孫)」とみなされます。 したがって、養子が先に亡くなった場合、この子どもは代襲相続人になれます。

養子縁組「前」に生まれていた子ども(代襲できない)

養子縁組をした時点で、養子に子どもがいた場合(いわゆる連れ子)はどうでしょう。
養子縁組によって親子の血族関係が生じるのは、あくまで「養親」と「養子本人」の間だけです。縁組前に生まれていた子どもと養親との間には、自動的に血族関係は生じません。 したがって、この子どもは養親の「直系卑属」にはあたらず、代襲相続人にはなれません。

同じ「養子の子(孫)」であっても、生まれたタイミング一つで相続権の有無が変わるため、判断には細心の注意が必要です。

 
<養子縁組のタイミングと代襲相続の関係>

原因となる事象 代襲相続
養子縁組「より後」に生まれた養子の子ども できる
養子縁組「より前」に生まれていた養子の子ども(いわゆる連れ子) できない

代襲相続人の「遺留分」と「相続税の2割加算」の注意点

遺留分とは、一定の相続人が最低限の遺産を相続できる割合です。相続税の2割加算とは、被相続人の配偶者・子ども・親以外が相続すると、当該相続人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されることをいいます。

ここからは代襲相続に関する遺留分と2割加算について見ていきましょう。

代襲相続人にも「遺留分」はあるか?

代襲相続人は、本来の相続人が持つ「遺留分(最低限の遺産取得権)」も引き継ぎます。遺留分は遺族の生活を保障する制度であり、配偶者、子、および直系尊属(親・祖父母)のみに認められます。生計を分けているケースが多い兄弟姉妹には、影響は薄いとされているためです。
 
関連記事:公平な相続に役立つ遺留分と特別受益の比較と、両者が関係する場面を解説!財産の評価時点に注意しよう

相続税の「2割加算」とは?

相続税には、配偶者・子・親以外が財産を受け取ると税額が2割増しになる「2割加算」という制度があります。そもそも相続税が課税されるタイミングは、遺産額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除を超えたときです。相続税申告は専門的な知識が必要になるため、税理士に相談しましょう。

 
<代襲相続人の関係と2割加算>

代襲相続人 2割加算の対象かどうか
孫(被相続人の子が既に亡くなっていた場合) 子の代わりに相続するため、通常は2割加算の対象外
甥・姪(被相続人に子がおらず、父母が既に亡くっている場合で、兄弟姉妹が既に亡くなっていた場合) 兄弟姉妹の代わりですが、2割加算の対象

京都で代襲相続の手続き・トラブルにお悩みなら弁護士へ

代襲相続が発生すると、通常の相続よりも集めるべき戸籍謄本の範囲が膨大になります。被相続人や被代襲者、代襲相続人の調査が必要になるため、時間と労力がかかります。

2024年3月から戸籍の広域交付制度がスタートし、お近くの役所でほかの市区町村で保管している戸籍を請求できるようになりました。しかし、兄弟姉妹の戸籍は請求できません。

また、疎遠な甥・姪など、関係性の薄い親族との遺産分割協議は、心理的な負担も大きくトラブルになりがちです。代襲相続で揉める前に、相続の専門家である弁護士に相談しましょう。

弁護士に依頼する具体的なメリット

弁護士に依頼すると、手続きの代理や対応といった法的なサポートだけでなく、他の相続人との交渉を任せられるため、精神的な負担が軽減されます。

 

<弁護士に代襲相続を依頼するメリット>
・複雑な戸籍調査と相続人確定の代行
・遺産分割協議の代理交渉
・未成年者の特別代理人選任申立のサポート
・相続放棄の確実な手続きサポート
・遺留分請求や養子縁組が絡む専門的な対応
 
※特別代理人とは、被代理者(未成年者など)と法定代理人との間に利益相反があるときに、本来の代理人に代わって特定の法律行為を代理する人です

京都の相続問題は山村忠夫弁護士事務所へ

京都で代襲相続に関するお悩みがあれば、山村忠夫弁護士事務所にご相談ください。 複雑な戸籍調査から、疎遠な親族間での遺産分割協議の調整まで、豊富な実績に基づきサポートいたします。初回相談は無料ですので、手続きに行き詰まる前にお気軽にご相談ください。

弁護士に相談すべき理由

  • ・相手方との交渉や調停・審判の代理人となってもらえる
  • ・トラブルになりそうな可能性を察知し、事前に対策が打てる
  • ・有利な結果を獲得しやすい
  • ・特別受益額や持ち戻し請求の計算を正しく行ってもらえる
  • ・遺留分侵害額請求を行う場合は、資料作成から提出まで対応してもらえる
  • ・面倒な法的手続きを全て任せることができる

他の相続人が特別受益を認めない場合は、トラブルになる前に弁護士に相談するようにしましょう。

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