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2026
06/03

相続財産に「含まれる・含まれない」範囲を確認。マイナス財産や、デジタル遺産まで弁護士が網羅的に解説

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相続財産の範囲は、預貯金や不動産といったプラスの財産から、借金や慰謝料債務の支払いなどのマイナスの財産まであります。近年急増している、ネット銀行や暗号資産といったデジタル遺産の特定は、見落としリスクがあり慎重な調査が必要です。また、「みなし相続財産」と呼ばれる、税金計算と遺産分割で扱いの異なる複雑な財産もあります。
財産目録がなく、遺産の全容がわからない場合は、トラブルを防ぐためにも専門家に調査を依頼しましょう。

この記事の監修者

弁護士 山村真登

弁護士・ニューヨーク州弁護士

2013年12月
弁護士登録 山村忠夫法律事務所勤務開始
2018年5月
ニューヨーク大学ロースクール(New York University School of Law (アメリカ合衆国ニューヨーク州))LL.M修了
2019年10月
ニューヨーク州弁護士登録

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弁護士 山村真登
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弁護士 山村真登

相続財産というと預貯金や不動産を思い浮かべる方が多いですが、実際には借金や保証債務、近年増加している暗号資産やネット証券などのデジタル遺産まで含まれます。また、生命保険金や死亡退職金のように、相続税の計算と遺産分割で取扱いが異なる財産もあり、正確な理解が不可欠です。相続手続では、財産の見落としが思わぬトラブルにつながることも少なくありません。

京都市の山村忠夫法律事務所では、遺産分割、遺留分、相続放棄、財産調査、生前対策まで幅広い相続案件に対応しております。相続財産の範囲が分からない、使い込みが疑われる、デジタル遺産の調査方法が分からないなどのお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。依頼者の皆様が安心して相続手続を進められるよう、法的な観点から丁寧にサポートいたします。

この記事の監修 :
弁護士 山村真登

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相続の弁護士費用相場コラム

相続財産に含まれるプラスの財産種類と内容

相続財産に含まれるものには、不動産や預貯金といった現物の資産のみならず、被相続人が有していた各種の権利も含まれます。相続の手続きを円滑に進めるため、プラスの財産を種類ごとに見ていきましょう。

預貯金・土地・有価証券などの不動産や動産

プラスの財産に含まれるものは、現金や不動産以外にもさまざまな種類があります。ご自身で財産を調査をするときは、一覧をチェックして漏れがないように進めましょう。

 
<プラスの財産に含まれる財産一覧>

財産 概要
現金・預貯金 銀行口座の残高、タンス預金
不動産 自宅の土地や建物、ビル、田、山林など。2024年4月から相続登記(名義変更)が義務化されたため、対応が必要。
動産・権利 自動車・貴金属・家財・株式・借地権など。著作権・損害賠償請求権といった無体の権利も含む。

【要注意】見落としがちなネット銀行や暗号資産などのデジタル遺産

通帳のないネット銀行やスマホ決済用の電子マネー、暗号資産(仮想通貨)、ネット証券の株式もすべて相続財産に含まれます。相続税の課税対象になるため、申告期限の10カ月をすぎないように早めに手続きを進めましょう。

デジタル資産の調べ方として、もしスマホやパソコン等にアクセスが可能であれば、被相続人が使用していたメールアドレスや電話番号、郵便物、パソコンのブラウザ履歴から利用状況を特定する行為が有効です。
 
他方で、スマホやパソコンにアクセスできない場合も想定されます。これらはパスコードや生体認証(顔・指紋)でロックされいることが多いかと思われます。生体認証は死亡後には使えず、Apple・Google・携帯キャリアも原則としてロック解除には応じないようです。このような場合、預金通帳やクレジットカードの利用明細から取引所・ネット証券・サブスクへの入出金を逆引きする方法が、最も確実な手がかりになります。過去の確定申告書や住民税の通知書に、暗号資産の雑所得や配当の記載が残っていることもあります。スマホのロックが解除できない場合でも、これらの痕跡からたどっていくことが必要になります。
 
なお、注意したいのが二段階認証(SMS認証)です。取引所やネット銀行のログインに携帯番号宛のSMSが使われている場合、相続発生後すぐに携帯回線を解約してしまうと認証コードを受け取れず、かえってアクセスできなくなることがあります。携帯回線の解約は、デジタル遺産の調査がひと段落するまで急がない方が良いかもしれません。なお、相続人のIDで直接ログインする行為は各サービスの利用規約に反する場合があるため、原則として各事業者の正規の相続手続を通じて行うのが安全です。
 
もし、ログイン用のIDやパスワードが不明であったとしても、金融機関さえわかれば、被相続人の死亡を通知し、相続手続を行うことができます。必要書類は取引所によって異なりますが、一般的には死亡診断書(写し)、相続人であることを示す戸籍謄本、遺産分割協議書(または遺言書)、相続人本人確認書類などが求められます。

暗号資産は「どこに保管されているか」で対応が分かれる

同じ暗号資産でも、保管場所によって帰趨が大きく異なります。

取引所(カストディ)に預けている場合:多くの場合、取引所の相続手続を通じて承継が可能です。金融機関での対応と大きく事ならないことがほとんどです。
自己管理ウォレットの場合:ハードウェアウォレットやアプリで自己保管している場合、秘密鍵やシードフレーズが分からなければ、相続人であっても事実上回収できず、資産が永久に失われる可能性があります。ここが預貯金と決定的に異なる点で、生前にこれらの情報の所在を残しておくことが極めて重要です。
 
なお、暗号資産の評価額は、原則として相続開始日(被相続人の死亡日)において、被相続人が利用していた取引所が公表している当日の売却価格(終値)で評価します(上場株式とは若干異なります)。活発な市場が存在しない暗号資産については、その内容・性質・取引実態等を勘案して個別に評価することになります。この通り、暗号資産や株式の評価額算出は一般的な預貯金と比較して複雑なため、早めの取り組みが大切です。

できれば「生前の備え」を

こうしたトラブルの多くは、生前対策で防げます。エンディングノートやID・パスワードの一覧を残しておくほか、Appleの「故人アカウント管理連絡先(デジタルレガシー)」やGoogleの「アカウント無効化管理ツール」をあらかじめ設定しておけば、遺された家族のアクセスが格段に容易になります。

自力での調査が難しいときは、デジタル遺産の手続きに強い専門家に依頼しましょう。

借金も対象!相続財産に含まれるマイナスの財産

相続したくない負債も、法律上は相続財産として自動的に承継されます。予期せぬ債務負担を避けるため、被相続人にどのような債務があるのか確認してください。

借金・ローン・未払いの税金や家賃

マイナスの財産とは、金融機関からの借入金や各種ローンのほか、未払いの医療費といった日常生活上の債務も含まれます。手続きをしなければそのまま受け継いでしまうため、まずはどのようなマイナスの財産があるか把握することが必要です。

 

<負債に含まれるもの>
・消費者金融からの借入金(連帯保証人としての保証債務も含む)
・住宅ローン(団体信用生命保険(団信)に加入していない場合。団信に加入していれば、死亡と同時に保険金によって住宅ローンの残債務が返済されます。)
・カードローン
・未払いの医療費
・家賃
・公租公課(税金)
・裁判上確定した損害賠償債務

マイナスが多い場合は相続放棄を検討

家庭裁判所に申述する相続放棄とは、相続人が被相続人の権利・義務をすべて受け継がない、法的地位を確定させる手続きです。

相続放棄の手続きができる期限は、自分のために相続の開始があった事実を知ってから3カ月以内です(かかる期間を熟慮期間といいます。)。熟慮期間は、通常、被相続人の死亡を知った時から3カ月とされます。
 
もっとも、相続財産が日本全国や海外に存在するため財産調査が間に合わない場合や被相続人・その他の相続人と疎遠であったため、被相続人が死亡した事実を知ったのが遅れた場合には、家庭裁判所へ熟慮期間の伸長を申し立てることができます。ただし、申立てを行った場合、一律にそれが認められるわけではありません。熟慮期間の伸長を基礎づける事実を証拠に基づいて裁判所に説明する必要があります。

相続放棄は、上記のとおり熟慮期間という期間制限があるとともに、原則として撤回できない手続きであるため、手続きを行うか判断に迷うときは専門家に相談しましょう。

相続財産に含まれない特殊な資産や権利とは

例外的に、相続財産に含まれないものがあります。遺産分割の計算を間違えないために、対象にならない財産を確認しましょう。

 
相続財産に含まれない特殊な資産や権利とは

お墓や仏壇などの祭祀財産

墓地・墓石・仏壇・仏具・家系図などの先祖を祀るための財産は、相続財産に含まれません。

祭祀財産は遺産分割の対象外であり、相続税も非課税になります。ただし、純金製の仏像といった純粋な資産価値が極めて高いものや第三者への販売目的等、自らの祭祀に利用しない場合は、相続税逃れとして課税対象になるケースもあるため、注意が必要です。
 
このような祭祀財産は、先祖供養や墓地管理といった家族の伝統を守る役割を担う祭祀承継者が引き継ぎます。承継者は、地域の慣習や被相続人の遺言によって定められますが、明確な慣習や遺言がない場合は、遺産分割協議の中で決定されることになります。

被相続人の死亡により消滅する受給権者固有の権利(一身専属権)

受給権者固有の権利(一身専属権)とは、特定の個人にのみ帰属し、他者への譲渡や承継が馴染まない権利を指します。たとえば、民法877条に基づく親族間に認められた扶養請求権、生活保護受給権などは、被相続人の死亡をもって当然に消滅します。
 
一方で、未支給年金は、受給権者の死亡によって消滅するものではありません。未支給年金は、年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給していなかったものをいいます。 これは、国民年金法と呼ばれる法律によって、残された遺族に対し直接認められた「遺族固有の権利」とされています。そのため、受給権者の死亡によって消滅する一身専属権とは性質を異にし、かつ、原則として相続財産(遺産分割の対象)にも含まれません。

遺産分割と相続税で扱いが異なるみなし相続財産とは

みなし相続財産とは、民法上の遺産分割をする財産ではないものの、相続または遺贈(被相続人による遺言書に基づく贈与)によって取得したとみなされ、相続税の課税対象となる財産です。

死亡保険金や死亡退職金は原則受取人の財産

保険契約により受取人が指定されている死亡保険金や就業規則により受取人が指定されている死亡退職金は、指定された受取人固有の財産です。相続財産とされないため、遺産分割協議の対象外となります。

一方で、税法によると死亡保険金や死亡退職金は実質的な経済価値の移転とみなされるため、みなし相続財産として相続税の課税対象になります。

生命保険金が特別受益として持ち戻しの対象になる例外事例

特別受益とは、被相続人から特別に受け取った生前贈与などの財産です。特別受益があると、受け取った財産を遺産総額に持ち戻して計算し、各相続人の相続分を再分配します。

原則として、生命保険金は、受取人固有の財産と考えられているため、遺産分割の対象にはなりません。その結果、特別受益として被相続人の遺産に持ち戻されることもありません。しかし、保険金の額が遺産総額に対して著しく高額で不公平な場合、相続人間の均衡を著しく損なうと判断され、特別受益として持ち戻しの対象となった判例があります。

特別受益の判断は法的知識がなければ難しいため、弁護士へ相談しましょう。
 
関連記事:生命保険と特別受益の関係とは?相続時の取り扱いと高額なケースにおける遺産分割時の持ち戻しなどを解説

生前贈与や使い込みは?揉めやすい財産の調査方法

親族で揉めやすいケースは、被相続人の存命中に行われた生前贈与や、遺産の使い込みが挙げられます。親族同士で疑心暗鬼になりやすく、ご自身で解決しようとすると関係性を悪化させる可能性が高くなるでしょう。トラブルに発展する前に、専門家に相談してみてください。

過去の生前贈与は持ち戻して計算する

被相続人が特定の相続人に対して生前贈与を行っていた場合、改正後の民法によると、特別受益は、相続が開始してから、つまり、被相続人が死亡してから10年を経過した場合は、主張できなくなりました(民法904条の3)。もっとも、10年を経過した場合、一律に特別受益の主張ができなくなるというわけではなく、被相続人の死亡後10年以内に遺産分割調停が申し立てられた場合、その調停においては、相続開始から10年が経過していたとしても特別受益を主張することができます。
 
「生前に財産をもらっていない」と主張する相続人が存在する場面では、その贈与を証明する客観的な証拠が必要です。贈与から時間が経過していると証拠が見つかりにくいため、生前贈与が疑われる場合は、速やかに行動に移すことが必要です。
 
関連記事:【弁護士が解説】生前贈与が無効と主張できるケースとは?財産を取り戻すための法的手段と証拠の重要性

預金の使い込みが疑われる場合の調査

同居家族による無断引き出しは、不当利得返還請求や損害賠償請求の対象となり得ます。不当利得返還請求とは、正当な理由がなく他人に損失を与えて利益を得た人に対して、損失者が利益を返還するように求めることです。損害賠償請求とは、他人の財産に損害を与えた人に対して、損害の填補を求めることです。
 
上記請求を行うためには、過去の取引履歴を取り寄せ、不自然な出金記録を特定する必要があります。使い込みを行った人物が通帳を隠し、調査が難しい場合もあります。また、取引履歴を取得できたとしても、預金の引き出しが、特定の相続人による使い込みであると立証することが困難な場合も多いです。というのも、不当利得返還請求や損害賠償請求が認められるためには、特定の相続人が被相続人に無断で自身のために預金を利用したことを立証しなければなりません。
 
そのためには、預金の引き出しが、当該特定の相続人によるものであるか、仮にそうだとしても、それが権限なく行われたものであるか又は被相続人からの贈与であったのか、引き出された預金が被相続人の生活費や医療費に使われたものではないか(そうである場合は、被相続人の財産が被相続人のために使われたということになるので、相続人よる使い込みとはいえません。)等を検討する必要があります。
 
預金の使い込みを理由に法的請求を行う場合、証拠収集も困難ですが、収集した証拠に基づいて相続人による使い込みであると立証することが困難なといえます。そのため、預金の使い込みを疑われている場合は、弁護士に相談することをお勧めします。
 
関連記事:遺産の使い込みは何を証明すれば取り戻せる?取り戻せない場合は?証明に必要な証拠の具体例を解説

相続財産が不明な場合は弁護士による調査を

遺産の全容が分からないと、財産調査の段階で行き詰まってしまいがちです。しかし、実は相続人自身でできる調査も少なくありません。
預貯金の取引履歴:相続人は、金融機関に対して被相続人の口座の有無や取引履歴の開示を請求できます。共同相続人の一人からでも単独で請求できることが多いです。
借金などの負債:信用情報機関(全国銀行協会(KSC)、CIC、JICC)に対し、法定相続人として被相続人の信用情報の開示を請求できます。これにより、借入やローン、保証債務の有無をある程度確認できます。
 
とはいえ、個人ではどの金融機関に何を求めるべきかに悩まれることもあるでしょう。開示を行なったけれども次に何をすべきかわからないといったこともあります。弁護士に依頼を行なった場合、弁護士会照会(23条照会)を利用し、依頼者の負担を軽減しつつ、次の法的手続へスムーズにつなげられることが可能となります。

相続財産の範囲や調査に迷ったら山村忠夫弁護士事務所へ

相続財産の範囲は法的に複雑で、借金やデジタル遺産の見落としは大きなリスクになり得ます。みなし相続財産や使い込み疑惑といった親族間で意見が対立しやすい問題も、自力で解決しようとすると親族の関係性が悪化しかねません。

トラブルの火種があるときは弁護士に依頼しましょう。安心して任せられる相続トラブルの実績が多い事務所であれば、親族内の感情を整理しつつ、スムーズに手続きを進められます。
 
京都で相続問題にお悩みの方は、調査から遺産分割協議までトータルサポートできる当法律事務所へご相談ください。平日だけでなく土日祝も事前予約いただければ、法律相談を60分無料で行っています。依頼者の正当な権利を守り、平穏な生活を取り戻すため、些細な懸念についても遠慮なくお聞かせください。

弁護士に相談すべき理由

  • ・相手方との交渉や調停・審判の代理人となってもらえる
  • ・トラブルになりそうな可能性を察知し、事前に対策が打てる
  • ・有利な結果を獲得しやすい
  • ・特別受益額や持ち戻し請求の計算を正しく行ってもらえる
  • ・遺留分侵害額請求を行う場合は、資料作成から提出まで対応してもらえる
  • ・面倒な法的手続きを全て任せることができる

他の相続人が特別受益を認めない場合は、トラブルになる前に弁護士に相談するようにしましょう。

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